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マイコンを使った制御回路には、どのような周辺回路が必要となるか?

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2022.11.28

マイコンを使った制御回路を構成する場合、マイコンだけではなく周辺回路を設計する必要があります。マイコンの性能も重要ですが、マイコンを動かす電源を供給する回路や、マイコンの手足となるトランジスタなどマイコン以外にも制御回路を構成する重要な回路素子が多く存在します。ここではマイコンの周辺回路の基本について紹介します。

マイコンの周辺回路は電源部と動作部に大きく分かれる

マイコンは人間の体に例えると頭脳と言うことができるでしょう。
マイコンからの指令により、トランジスタなどの制御回路を構成する素子が指令通りの動きを実現します。
また、トランジスタやマイコン、回路を構成する半導体機器は、いうまでもなく電源を供給しなければ動きません。電力会社からの電源をマイコンやトランジスタが動作できる電源に変える必要があり、その回路を構成する必要があります。

マイコンや制御部へ電源を供給する回路部分を電源部、マイコンの指令通りに動作する回路部分を制御部として大別して、それぞれの特徴や構成する代表的な素子について説明していきます。

マイコン回路の動作に必要な電源回路

マイコンを動作させるためには、マイコンに適した電源が必要です。同時にトランジスタなどの制御部の駆動に必要な電気も併せて供給します。

マイコンやトランジスタの動作に必要な電気は直流です。一般的な商用電源は交流ですので、交流を直流に変換する整流回路が必要となります。整流回路はダイオードをブリッジ回路状に構成させた全波整流回路が一般的です。
商用電源の100Vもマイコンやトランジスタなどを駆動する電源としては高すぎるため、マイコン動作に適した5V~24V程度に降圧するトランスも必要となります。

マイコンの電源回路に最低限必要な回路は、降圧トランスと整流回路と言えます。

マイコン電源の安定化に欠かせないデカップリングコンデンサ

マイコンの電源回路に必要最低限の降圧トランスと整流回路のみで構成すると、交流を無理やり直流に変換しているため、さまざまな弊害が出てきます。
理想的な直流は一定電圧が脈動なく出力されている状態です。交流はサイクルがあるため、降圧トランスと整流回路のみだと、交流の脈動がどうしても出力された直流に表れてしまいます。
こうした状況を防止するため、マイコン電源回路に並列にコンデンサを設置して脈動を補償させる回路がデカップリングコンデンサです。
その他にもデカップリングコンデンサを入れることで電源のノイズ除去効果を期待できます。
マイコンを正しく動作させるために安定した直流の電源が必要となり、デカップリングコンデンサは最も一般的な電源安定化策です。

マイコンからの指令を伝えるトランジスタ、MOSFET

マイコンからの指令に基づいて、さまざまな動作回路のON-OFF動作を行う素子がトランジスタやMOSFETです。マイコンの指令を伝える動作部の中で多く使われている素子と言えます。

様々な電子機器に使われているトランジスタ

トランジスタは古くから電子機器に導入されており、半導体の組み合わせにより構成されている素子です。ON-OFF動作や信号増幅といった用途に用いられ、マイコンの指令による動作を行います。マイコンとトランジスタがなかった時代は、リレー回路による制御回路を構成しており、同じ制御を行うための回路数も多い状態でした。
マイコンとトランジスタが登場したことにより、炊飯器などの家電製品の小型化に貢献しました。

高速動作が得意なMOSFET

半導体酸化皮膜の絶縁層により、絶縁された電極から異なる電界を発生させON-OFF動作を行うMOSFETはトランジスタの一種で、一般的なトランジスタよりも新しく開発された素子です。
ON-OFF動作に必要な消費電力が従来のトランジスタと比較して低く、制御回路の省エネ化に貢献し、放熱量が少なく、回路スペースを削減できるため小型化にも寄与しています。

また、高速スイッチングを得意としているため、AC-DCコンバータなどのスイッチング電源に用いられることが多いです。

パワーMOSFETの場

近年、パワーMOSFETと呼ばれるON―OFF動作が大電力にも耐えうるものが登場しました。太陽光発電や風力発電と言った再生可能エネルギーの電力変換には、パワーMOSFETが得意とする高速スイッチングが必要なDC-AC変換もあります。
今後は機能面などの観点からトランジスタに代わってMOSFETが主流となっていくでしょう。

時計やタイマーに用いられるクロック回路(発振回路)

家電製品などマイコンを使った機器の中には、タイマーや時計が搭載されていることがあります。これを実現するためには1秒、1分の基準となる単位時間を電気的に作り出す必要があります。

これに用いられているのが水晶振動子を搭載したクロック回路(発振回路)です。水晶振動子は電圧がかかると、圧電効果により、一定周期でON-OFFを繰り返すパルスを出力することができます。
この水晶振動子からのパルス信号を基準としてマイコンに入力することで、「パルス〇個分=1秒」としてタイマー動作や時計の動作に用いることができるようになります。タイマー以外にも外部通信機能を持つマイコンなどは、通信を行う際の同期などにクロック回路からの基準パルスを用いる、といったこともあります。今のマイコン制御に、クロック回路はなくてはならない存在です。

マイコンを初期状態にするリセット回路

マイコンの動作がおかしくなったり、最初から制御をやり直したりする場合に、電源を切るという方法もあります。しかし、それではさまざまな影響が出てしまうというような場合、マイコンのリセット回路を構成すると便利です。
これにはリセット用のスイッチを設けて、マイコン側に信号入力部分を用意します。最もシンプルなリセット回路です。

さらに、パワーオンリセット回路というリセット回路もあります。マイコン回路に電源を投入した直後にマイコンが動作し始めてしまうと、電源電圧が安定しない状態で動作するため、動作が不安定となってしまいます。電源投入直後の一定時間はリセット信号をマイコンに入力し続けて、マイコンの動作を止めておき、電源電圧やその他動作が安定したタイミングで、リセット信号を解除するというものです。

どちらのリセット回路もマイコン動作の安定を目的とした回路です。

まとめ

いくらマイコンに画期的なプログラムを書き込んだとしても、電源がなければ動かすことができません。また、電源にノイズや直流脈動があるとマイコンも正常に動作することができなくなります。マイコンの画期的なプログラムを実現するためのセンサや制御用の回路などもなくては動作することができません。マイコンの開発ばかりに注力すると、制御部と電源部の設計がおろそかになりがちです。マイコンの周辺回路もマイコンのソフト開発と同じぐらい重要であるということを忘れてはいけません。マイコン周辺回路の設計品質が、マイコン制御回路全体の品質をも左右する重要な項目と認識し、日々の設計改善に取り組んでいきましょう。

執筆者プロフィール
西海登
ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する業務を経験する技術者。近年ではIoT関連の業務にも携わる。本業の技術職の傍ら、webライターとして活動中。