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ハードウェアを作る際には設計が重要です。
本記事では、そもそもハードウェアとは何か、ハードウェア設計で行うこと、外注化が進む理由を分かりやすく解説します。
ハードウェア(ハード)とは、端的に言うと「形あるもの」です。
目で見ることができ、触ることができるものであればすべてハードウェアと呼ぶことができます。
産業界で一般的にハードウェアと呼ばれている物を紹介します。
・筐体
・駆動系
・モータ
・センサ
・IC(プリント基板)
・マウス
・キーボード など
筐体は「外装」や「カバー」と言い換えることができます。例えば、スマホで言えば外側のカバーや液晶、車で言えばボディが筐体です。物の一番外側にきて、触れられるものを筐体と言います。
ただし、「触れられるもの」でも動くものは筐体とは言いません。動きのあるものは駆動系と呼ばれることが一般的です。車で言えば、エンジンやトランスミッション(変速機)が駆動系となります。
ICは「プリント基板」とも呼ばれていて、小型の電子回路を指します。わたしたちの身近なところでよく使われていて、例えば冷蔵庫やエアコン、洗濯機といった家電の中には1台に1個以上のICが設置されています。
ICの役割は、人間の脳が担っている役割と同じと言えます。「あるボタンが押されたら、ある仕事をしろ」といった指令を送る役割を担っています。
ICの中身はトランジスタや抵抗器、ダイオードといった電子部品で構成されていて、これらの部品で適切な信号や電流を機械の各部に伝えています。
ソフトウェア(ソフト)とは「実際には形がないもの」のことで、アプリケーションやパソコンなどのシステムを指します。
機械は、通常ハードウェアとソフトウェアで構成されます。例えば、スマホゲームやSNSなどのアプリがソフトウェアです。
スマホを例にすると以下のものがハードウェアです。
・外側のカバー(筐体)
・液晶画面
・内部の基板
スマホのソフトウェアとしては以下があります。
・OS(アンドロイド端末ならアンドロイド、iPhoneならIOS)
・アプリ
スマホを例にしましたが、現代ではほとんどの機械はハードウェアとソフトウェアがセットになっています。ハードだけあっても動作しませんし、ソフトがあっても実体あるものがないと使用できません。
では、ハードウェアの設計について具体的に説明します。
産業界でのハードウェア設計(ハード設計)は、大きく「電気設計」と「電子回路設計」の2つに分けられます。
筐体や駆動系の設計は「機械設計」と呼ばれることが多いです。
「機械設計」と「ハードウェア設計(電気設計・電子回路設計)」では使うツールがまったく違います。そのため一口にハードウェア設計と言っても、どんなハードウェアかによってツールや設計者の専門分野は異なります。
「電気設計」とは、機械に必要な機能を満たすために電気・電子部品の選定や回路の設計を行うことです。電気設計の場合は、エンジニアの中でも電気系を専門としている人が行います。
電気は人体に流れると非常に危険なため、電気設計をする上で安全に人が使うことができる回路になっているかが重要な要素です。
電気設計では主に以下のことを行います。
1. モータやセンサの選定
2. ブレーカーやリレーなどの電気部品の選定
3. 制御に必要なPLCの選定
4. I/O図の作成
5. 動力回路図、制御回路図などの回路図の作成
6. 制御盤の設計
7. 配線の太さ、経路の設計
8. PLCのソフト設計
9. タッチパネルの設計
まずは必要な機器を選定し、次にI/O図と回路図を作成します。
I/O図とは、信号の入出力を表した表です。I/O図のIは入力(In)、Oは出力(Out)を指しています。
機械の頭脳であるPLCから見て電気信号が入ってくれば「入力」、信号を出すのであれば「出力」と言います。
例えば、センサはPLCから信号を受け取り、その信号をPLCで処理するので入力、モータはPLCから電気信号を出して動いているので出力になります。
I/O図を作成することで機械全体使用する機器と信号が明確になり、PLCのソフト設計時の工数削減につながります。
回路図とは、電気の配線をするための配線図です。電気配線は電気の設計者が自分でやることは滅多になく、多くの企業で分業化されています。
そのため、電気設計者が機械の組み立て現場で必要な配線用の回路図を作ります。
続いて、機器を収納するための制御盤を設計し、最後にPLCやタッチパネルの画面を設計するのが大まかな流れです。
また、PLC(Programmable Logic Controller)とは、機械の制御を行うコントローラです。「シーケンサー」と呼ばれることもあります(ただし、この言葉は三菱電機の商標名です)。
数十年前は電気が流れるとスイッチになる「リレー」と呼ばれる部品を使って制御を行っていましたが、今はPLCの内部ソフトウェアで制御を代替することができます。
「電子回路設計」は、「IC(プリント基板)設計」とも呼ばれることがあり、家電などの小型機械の制御で使われるICの設計を行います。
電子回路設計は、基本的に以下のような手順で行います。
1. 回路に使われる電子部品の選定や配置
2. アナログ回路やデジタル回路の作成
3. 設計検証
まずは電子部品の選定や配置を行います。
次に回路の作成を行い、最後にシュミレーションソフトを使って設計した回路が正しい動作を行うか検証します。
この中で特に大切なのが検証作業です。ICは家電などの大量生産製品の機械の制御で使われるので、設計されたICは大量に市場に出回ることになります。そのため、設計ミスなどでICに不具合が見つかった場合は市場から機械を回収することになり、莫大な費用が発生します。
このような事態が発生しないようにさまざまなパターンのシミュレーションを行い、ICが正しく動作するかを繰り返し検証します。
一昔前は、大企業でも中小企業でも、設計者を社員として雇っているのが一般的でした。しかし、近年ではエンジニアを常時雇用するのではなく、ハードウェア設計を外注したり、エンジニア派遣を利用したりする企業が増えています。なぜなら、企業に求められる設計内容が常に変化するからです。
昔に比べると技術の進歩が早く、同じ物をつくり続けるだけでは企業が利益を確保するのが難しくなってきました。そのため、新しいものや分野が異なるさまざまなものを同じ企業内でつくることが増えてきました。そうすると社内には分野が異なる多様な専門知識が必要になりますが、それを社内だけで確保するのが難しいことがあります。
また、社内で設計者を採用することは大きなリスクです。
・自社にマッチしなかったらどうしよう
・採用しても不景気がきたら与える仕事がなくコストが上がる
担当者であれば、このような不安があるでしょう。
予算が豊富な会社であれば問題ないですが、限られた予算しか与えられていない場合は設計の受託会社や、エンジニアの派遣会社を利用してみるのも一つの方法です。
執筆者プロフィール:
ドラフター
中小企業の機械メーカーに勤める現役の機械設計者。機械設計者の為のお役立ちサイト「機械設計者の働き方.com」を運営している。機械設計、メーカーの仕事内容に関する記事を多数執筆
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