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自動運転における日本の現在地は?各メーカーの最新の取り組みを紹介

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2022.07.11

100年に1度の破壊的イノベーション下にあると言われる自動車業界において、電動化と並んで注目されているのが自動運転です。
世界で初めてレベル3の自動運転技術を搭載したレジャンドを発売したホンダや、これまでの既存メーカーとは違ったアプローチで実現を目指すテスラなど、世界の自動車メーカーの開発状況と今後の取り組み、さらに現在日本の置かれているレベルや、今後の課題について考察していきます。

自動運転レベルの解説

自動運転は0から5のレベルに分かれており、それぞれのレベルによって求められる技術が異なります。

自動運転のレベルとは

モビリティの専門家が集まったアメリカの非営利団体「SAE(Society of Automotive Engineers)」によって、自動運転レベルを0から5までの6段階に分けられ、それぞれのレベルにおいて定義が設定されています。

レベル レベル 定義
レベル5 完全自動運転
レベル4 特定条件下における完全自動運転
レベル3 条件付自動運転
レベル2 特定条件下での自動運転機能
レベル1 運転支援システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施
レベル0 運転自動不能

 

レベル0は自動運転機能なし、レベル1は縦方向や横方向など限定された動きにおいて、ステアリング操作と加減速操作のどちらかをサポートするレベルです。例えば、前車追従走行や車線逸脱防止機能はレベル1に含まれます。

続いてレベル2は、ステアリング操作と加減速操作の両方を行うことができる運転支援技術です。渋滞中に前車に追従し、停止と再加速を支援する前車速追従式ACC(アダプティブクルーズコントロール)などが例として挙げられます。

昨今「半自動運転」といったように曖昧な表現がされがちですが、レベル1と2はあくまで運転支援であり、正式な自動運転ではありません。

自動運転と呼べるのはレベル3から

レベル1と2はドライバーが運転操作をする必要があるのに対し、レベル3~5はドライバーの操作が必要ありません。

レベル3は高速道路など限られた状況下においてのみ、ドライバーの操作hs不要になります。レベル3では車両の走行位置検出のほか、システムの作動が困難な場合は、ドライバーが運転を引き継がなければなりせん。

レベル4は、大きなテーマパークの敷地内や出発地から到着地までの決められたルートなど、特定の場所、環境下において運転動作のすべてをシステムが担います。また、自車走行位置の認識や、走行中の安全確認、走行経路の判断などを人では無くシステムが行わなければなりません。さらに、システムが通常通り作動しない場合でも、システム自らが対応する必要があります。

そして、レベル5は人間が運転しているのと同じレベルで、運転操作のすべてをシステムが行い、なおかつ実行できる場所や環境は限定されません。つまり、これまでの“運転者”を必要としない、完全自動運転となります。

 

日本政府としての実現目標

本格的なレベル3以上の自動運転がさらに普及し、日常でその恩恵を受けるためには、車だけでなく道路環境や法律などを国として整備していかねばなりません。そこで、国土交通省が発表しているロードマップを見ていきましょう。

ロードマップ2018

国土交通省ではITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)について方針を示しています。「世界一のITSを構築・維持し,日本・世界に貢献する」が目的であり、2030年までに「世界一安全で円滑な」道路交通社会を作り上げることを目標としています。

引用:令和元年交通安全白書「先端技術について」|内閣府

ロードマップ2018の詳しい内容

日本では高齢化社会や人口減少においてドライバー不足、過疎化地域をはじめとして高齢者などの移動手段が十分でない現状があります。

ロードマップ2018年では、自動運転を2020年までにレベル2、また2025年までに高速道路ではレベル4まで運用可能にする次のような内容を目指しています。

レベル レベル 定義
レベル5 完全自動運転
レベル4 特定条件下における完全自動運転
レベル3 条件付自動運転
レベル2 特定条件下での自動運転機能
レベル1 運転支援システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施
レベル0 運転自動不能

 

各自動車メーカーの取り組み

社会問題の解決に一役買うことが期待されている自動運転は、2022年現在、どの程度まで実用化され、さらに高いレベルの開発が行われているのかについて、国内外の自動車メーカーの開発状況を抜粋してご紹介します。

ホンダ

2021年に自動運転レベル3を搭載したレジェンドを、世界で初めて発売し実用化しています。また、Google関連の自動運転開発企業と自動運転技術領域の共同研究に向けた検討を米国で開始。さらに、危険予測や交通状況の予測に欠かせないAI技術に関する共同開発を中国の企業と締結するなど、より高度な自動運転技術の開発に着手しています。

トヨタ

トヨタは2018年に開催されたCES2018において、自動運転とMaaS(Mobility as a Service)を組み合わせたe-Palette Conceptを発表。MaaSとは地域に住民や旅行者、一人ひとりのニーズにあわせて最適に移動できる手段の検索から決済まで一括でできるサービスです。
また、トヨタではドライバー不要のレベル4の自動運転車を実用化しています。2021年に開催された東京オリンピック2020の選手村では、自動運転技術を搭載したe-Paletteが循環し、選手の送迎を行いました。

日産

日産はDeNAと共同で、「Easy Ride」という無人タクシーサービスの実証実験を横浜みなとみらい地区にて実施。実験段階の現在は、安全のため運転席に乗務員が乗り込んでいるものの、運転はすべてシステムが行います。モバイルアプリで配車から支払いまでできる上、自動運転の強みを活かした24時間サービスの提供を目指しています。

テスラ

テスラは、2021年に自動運転ソフトウエアである「FDS(Full Self-Driving)」のベータ版をリリース。あくまでもレベル2相当とされてはいるものの、道路状況、他車、歩行者、信号・標識をシステムが認識し、レベル4にも迫る高い制御レベルを実現しています。
このFDSにおいて注目名なのが、実際のユーザーにインストールしてもらい、公道を走ってもらうことでデータを収集していること。既存の自動車メーカーが行ってきた実験施設のみで行われる開発とは違い、より実態に則した活きたデータを収集することで、他のメーカーとは異なるアプローチで自動運転の実現を目指しています。

フォード

フォードは自動運転やMaaSを開発する「フォードスマートモビリティ」を2016年に設立。2020年にはマスタング Mach-Eで米国とカナダを結ぶ一部の高速道路においてハンズフリーで部分自動運転できるシステムの採用を発表しています。
さらに、2021年には、小売り大手のウォルマートと自動運転開発を手掛けるスタートアップのArgo AIと共に、フォードブランドの自動運転テスト車両による配達サービスを開始すると発表しています。

自動運転実現に向けた日本の現状

日本の現状を見ていくと、ごく限られた環境でのみレベル3以上の自動運転が実用化され始めました。今後さらに高レベルな自動運転を実現するためには、関連する法律やインフラの整備が必須であることは間違いありません。

歩みは遅くとも整いつつある法整備

2022年の道路交通法の改定により、レベル4の自動運転を搭載した車両が一般道を走行できるようになる見通しです。自家用車としての利用はまだ不可能ですが、無人運転車両が解禁されることでさまざまな移動サービスが登場する可能性があります。
すでに2020年の法改正によりレベル3を公道で利用することは許可されており、実用化されつつあります。

広範囲のインフラ整備が必須

より高度な自動運転を実現していくためには、自動車だけでなく周辺を取り巻くインフラの整備も欠かせません。
例えば、自動車のセンサーやカメラでは検知できない情報は、道路と通信することで車側が取得する、または車同士が相互に通信することでスムーズに合流させるなど、通信インフラを整えることが求められます。
また、消えかかった白線や、歩行者の発見遅れの原因となる、見通しの悪い道路の改善など、道路インフラも整備も必須です。
もちろん、その自動車単体で完結する自動運転は理想ですが、現時点ではこういった周辺環境の整備が、より高度な自動運転の実現には欠かせません。

自動運転は日本の問題を解決する有力な手段

2020年に道路交通法が施行されたことにより、自動運転装置をつかった車両が公道を走行できる環境が整いつつあります。人口減少や高齢化が進む日本において、バスやタクシーなどの運転者不足が課題となっているいま、茨城県境町では、2019年から国内発の自治体による自動運転バスの運用を開始。2021年11月末までの1年間に、累計利用者は約5300人、運航走行距離は約1.5万kmに達し、自動運転バスが町民の中に定着しつつあります。
このように、自動運転はいま日本が抱えている「人口減少によって生じる問題」を解決する有力な手段の1つです。

トヨタを始め、自動車メーカーが開発を進める中、法律やインフラの整備など自動運転を進めるための課題を着実に解決していけば、ますます自動運転の需要が高まることが見込まれます。

 

執筆者プロフィール
増田 真吾
国産車ディーラーにて約4年間、一般整備工場にて約10年間整備士、および自動車検査員をとして勤務。その後国内最大手自動車販売会社本部にて、保証判定や提携工場様との折衝および技術相談業務に従事。現在はライターとして、自動車メディアの編集業務、自動車関連の執筆、イベントレポートなどの制作を行う傍ら、株式会社グラフィカ・ワンを設立し、WEBサイトや動画制作にも携わっている。

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