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電子基板とは?電子基板の基礎知識から設計・製造の流れを紹介

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2022.09.05

さまざまな電子機器において欠かせない電子基板。そんな電子基板の種類や材質といった基礎知識から、電子基板を設計・製造する流れや注意点について紹介します。

電子基板とは?電子基板の基礎知識

電子機器の多様化に伴い、電子基板もさまざまな材質で作られた基板が存在します。そこで、電子基板の種類と材質について紹介します。

電子基板の種類

電子基板を基板の硬さで分けると、硬い材質の「硬質(リジット)基板」、柔らかくて曲げられる「フレキシブル基板」に分けられます。
パソコンのマザーボードや電子機器に組み込まれたメイン基板などは硬質(リジット)基板で材料はガラス・エポキシ樹脂などで作られています。一般的な電子基板のイメージと言えば硬質(リジット)基板を想像される方も多いのではないでしょうか。

一方、フレキシブル基板は柔らかく、屈曲させることができるという特徴から、屈曲させて好きな形に配置できるテープLED、折り曲げ式の液晶モニターのような可動部と接続するためのケーブルとしても利用されます。

また、硬質(リジット)基板とフレキシブル基板を併せたリジットフレキシブル基板も存在します。

電子基板の層で分類すると、「片面(1層)基板」「両面(2層)基板」「多層基板」に分けられます。「片面(1層)基板」は片面のみにパターンがあり、全ての部品も片面に実装するシンプルな構造から比較的低コストで製作できます。
「両面(2層)基板」は表面と裏面の両面にパターンがあり、それぞれの面をビア・ホールと呼ばれる穴で導通させます。
さらに層が多い「多層基板」は、大きな電流が流れる箇所を太く配線する必要がありますが、そのようなときでも電源層やGND層を内層に設けることで面積を広く確保できるメリットがあります。

電子基板の材質

電子基板は基材が紙やガラス、樹脂がフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの組み合わせた複合基材となっています。基板材料の呼称でよく使われるANSI・NEMA規格です。
複数ある材質の中からよく使われる基板をピックアップして紹介します。

基材 樹脂 ANSI・NEMA規格 基板の種類
フェノール樹脂 FR-1
FR-2
硬質基板
エポキシ樹脂 FR-3 硬質基板
ガラス布 エポキシ樹脂 FR-4
FR-5
硬質基板
ガラス布・ガラス不織布複合 エポキシ樹脂 CEM-3 硬質基板
ポリイミド エポキシ樹脂など フレキシブル基板
PET(ポリエチレンテレフタレート) エポキシ樹脂など フレキシブル基板

※「FR-○」の「FR(Flame Retardant)」とは難燃性のグレードを表しており、数字が大きくなるほど燃えにくいことを表しています。flameが炎、retardantが難燃剤という意味です。

紙フェノール基板(FR-1/FR-2)の特徴

紙フェノール基板は紙基材であることから、ガラス布基材と比べて加工がしやすく、低コストで製作できます。しかし、熱や湿気に弱く、耐久性が低いです。主に片面基板で使用されます。

紙エポキシ基板(FR-3)の特徴

紙エポキシ基板は紙フェノール基板と比較すれば、熱や湿気に強く耐湿や高電圧回路で使用されますが、ガラス系基材と比較すると耐熱性や耐湿性は劣ります。
紙フェノール基板はスルーホールが不向きですが、紙エポキシ基板はスルーホール形成が可能です。

ガラス・エポキシ基板(FR-4/FR-5)の特徴

硬質(リジット)基板において、最もよく使われるのがガラス・エポキシ基板です。
紙系基材の基板と比較して硬く、耐熱性や耐湿性に優れ高耐久です。その一方で、基板の加工には専用工具や機械が必要で加工費が高く、材料費も高くなります。
ガラス・エポキシ基板は片面基板から多層基板まで幅広く使用されています。

ガラスコンポジット・エポキシ基板(CEM-3)の特徴

ガラス・エポキシ基板よりも安価ながら電気的特性が同等で、ガラスエ・エポキシ基板の代替として使用されます。ガラス・エポキシ基板よりも加工がしやすく、パンチング加工が可能です。
CEM-3は両面基板までで使用されることが多いです。

ポリイミド基材フレキシブル基板の特徴

ポリイミドは機械的強度が高く耐熱性にも優れ、電子部品の絶縁素材としても用いられています。また、熱による膨張や電気的特性に変化がないことから、フレキシブル基板の中でも電流を多く流す伝送路や信頼性が求められる箇所に使用されます。

PET基材フレキシブル基板の特徴

PETはポリイミドと比較すると安価で製作が可能です。耐湿性に優れていますが、耐熱性は高くはないため、部品の実装には通常の半田ではなく、低温半田のみの対応となります。

電子基板設計の流れ

まず、電子基板設計者は回路図を設計します。回路図が完成したら電子部品同士の接続先を示したネットリストや回路図のデータを出力します。それらの情報を電子部品の配置・パターン設計を行います。部品の配置やパターン設計をアートワークとも言います。
基板の設計が完了したら、基板を製造するために必要なガーバーデータを用意します。
ガーバーデータとは基板を設計・製造する際に使用されるファイルフォーマットの1つで、基板外形や各層のパターン図、シルク図、レジスト図、ドリル図が含まれます。このガーバーデータから電子基板の製造を行います。

電子基板製造の流れ

ここでは生基板を製造するまでの工程について説明します。

CADデータから電子基板製造工程に必要な製造データへ編集するCAM作業を行います。基板サイズに併せて材料の切り出しを行い(多層基板の場合には内層基板の回路形成を行い)、層を重ねていきます。
スルーホールやビア・ホールなどの穴あけ加工を行い、ビア・ホールが電気的に接続するための銅めっき処理をします。
内層の処理が終わったら、外層の回路形成・ソルダーレジスト工程に移ります。ソルダーレジストは回路パターンを保護するための樹脂インクで日本では緑色が多く使われます。
基板に半田付けをしやすくする半田メッキなどの表面処理を行います。
基板をカットするためルーターで外形加工を行ったら電気検査をして出荷されます。

電子基板設計の注意点

電子基板設計時の注意点についてピックアップして紹介します。

・パスコンはICの電源ピン近くに配置する
パスコン(バイパスコンデンサ)はノイズ低減を目的としてICごとに配置されていますが、ICの電源ピンとの距離が近ければ近いほど効果が高くなります。

・パターンの直角配線はしない
パターンを直角に配線するとノイズが発生しやすくなります。直角にパターンを配置するとパターン幅が広くなり、インピーダンスが変化するためです。また、直角配線は基板製造時にエッジング液が溜まり、オーバーエッチングを引き起こす原因ともなります。

・ミシン目からはパターンや部品との距離を確保する
プリント基板を分割するためのミシン目からはパターンや部品との距離を確保するようにします。ミシン目との距離が近いと基板分割時のパターン剥がれ、部品の破損や部品剥がれにつながります。ミシン目からは2mm以上確保することを推奨します。

まとめ

電子基板はさまざまな用途や環境で使われるため、用途に合わせた材質や種類を選択する必要があります。基板の仕様検討から電子部品が実装された状態で納品されるまでにさまざまな工程が入るため横断的な基礎知識が求められますが、そうした知識は基板のサイズ・価格の最適化や不良低下につながりますので、ぜひチェックしてください。

執筆者プロフィール
芦ヶ谷 宏樹
大手メーカーで電気設計エンジニアとして15年従事しながら、電気設計や製造業に関する記事を執筆。身近な存在でありながら実はよく分からない電気について、誰にでも分かりやすい記事を書くよう心がけている。

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